柊星くんは溺愛したい

先輩

「……で、結局また名前聞きそびれちゃったわけね」


「うん。でも沙也香ちゃんの言ってた風戸先輩のイメージとは違う気がするから別の人かな」


数日後、私は先日の放課後にあった出来事を沙也香ちゃんに思い切って話した。

彼女の話によると風戸先輩は無表情でいる事が多く、親友の山口先輩といる時ぐらいしか笑顔は見せないらしい。そして女子に対しては驚く程に冷たいのだとか。


そこがまたいい、と学校内の大半の女子生徒たちは風戸先輩に夢中らしい。


「それもこれも全て今から判明するから楽しみだね」


今、私たちはバスケ部の放課後練習を見るために体育館に向かっている。沙也香ちゃんが好きな山口先輩はバスケ部の部長さんだから、彼女に誘われてたまに行くことがあった。


そして今日の練習に、バスケ部では無い風戸先輩が助っ人として参加するらしい。図書室に現れる先輩が果たして校内1の人気者なのか答え合わせに行くのだ。

うちの学校のバスケ部はそれはそれは人気が高い。山口先輩を筆頭に顔が良い人達が揃っている、と女子たちを虜にしている。


極めつけには不定期ながらも風戸先輩を拝めるから余計に人気がある。

見学者用のスペースは既に女の子たちでいっぱいだった。
< 13 / 22 >

この作品をシェア

pagetop