柊星くんは溺愛したい
この前までは下ろされていたベージュブラウンの髪が今日は後ろで結ばれている。ちょこんと飛び出ている髪束が歩く度に左右に揺れていた。

銀色の細長いピアスが光に当たり、キラリと反射した。

息が忘れるほど惹き付けられる彼の肩に、練習中の山口先輩が腕を回す。


____あの人だ、私が図書室で会ったのは


「あのひと……風戸先輩だったんだ」

「エッ!!ほんとに!?あの風戸先輩とふたりきングッ!!」


沙也香ちゃんの大きな声に釣られて振り向いた女の子たちに気づかれるのは不味い。慌てて彼女の口を両手で押さえた。


私と学校1の人気者、風戸先輩が2人きりで会っているなんてバレたら私の平和な学校生活が……。


絶対にバレちゃいけない!!

そう確信した私だが沙也香ちゃんから手を離し、風戸先輩を横目で見る。


「沙也香ちゃん、このことは内緒にして!!」


しぶしぶ頷いた彼女は再び視線を山口先輩へと向けた。ホッと胸を撫で下ろす。


風戸先輩が山口先輩からボールを受け取り、巧みに操る。そんな時、一瞬だけど彼と目が合った気がした。


𓂃◌𓈒𓐍

風戸先輩の人気が凄まじいことがこの1時間ほどで分かった。今まで自分が気づかなかったのが不思議なほど。
< 15 / 22 >

この作品をシェア

pagetop