柊星くんは溺愛したい
見覚えのあるブラウンはゆっくりと顔を上げる。息が上がって、肩が上下に揺れていた。それに合わせるように銀のピアスも激しく揺れる。
「……かざ、と、せんぱい?」
至近距離で目が合った。首筋から汗が伝っている先輩は眉をひそめた。
「怪我は?痛いところは?」
壁についていた彼の両手が肩に乗る。瞳が上下に動いて、私の身体を見ていた。
これまで見てきた先輩は、何を考えているのか分からなくて、クールで。だけど今は焦っている様子だった。
私自身もまた、状況が掴めず思考が錯綜していた。
「杏奈っ!!?あんた、大丈夫なの!!」
先輩の発言を聞くべくすっかり静まり返った体育館に沙也香ちゃんの大声と足音が響く。それと共に山口先輩も駆け寄ってきた。
「わ、私は全然大丈夫だよ」
目の前にいる先輩は片膝をついて安心したのか息を吐く。沙也香ちゃんはむにむにと頬を引っ張ってきた。
「すまん、柊。助かった。君もごめんね」
「ねえ、あの子だれ?」
「柊星くんが女の子を守るなんて」
「彼女なのかな」
口々にそばに居た女の子たちが話し始める。噂の的になっているのは一目瞭然だった。
「……かざ、と、せんぱい?」
至近距離で目が合った。首筋から汗が伝っている先輩は眉をひそめた。
「怪我は?痛いところは?」
壁についていた彼の両手が肩に乗る。瞳が上下に動いて、私の身体を見ていた。
これまで見てきた先輩は、何を考えているのか分からなくて、クールで。だけど今は焦っている様子だった。
私自身もまた、状況が掴めず思考が錯綜していた。
「杏奈っ!!?あんた、大丈夫なの!!」
先輩の発言を聞くべくすっかり静まり返った体育館に沙也香ちゃんの大声と足音が響く。それと共に山口先輩も駆け寄ってきた。
「わ、私は全然大丈夫だよ」
目の前にいる先輩は片膝をついて安心したのか息を吐く。沙也香ちゃんはむにむにと頬を引っ張ってきた。
「すまん、柊。助かった。君もごめんね」
「ねえ、あの子だれ?」
「柊星くんが女の子を守るなんて」
「彼女なのかな」
口々にそばに居た女の子たちが話し始める。噂の的になっているのは一目瞭然だった。