柊星くんは溺愛したい
彼女をそう宥めると腑に落ちないようだったが納得してくれた。

そう、私は好きで図書委員をしているのだ。1年生のころに初めてやった委員が図書委員で、それをきっかけに2年生も続けている。


騒がしい学校内で静かな場所は貴重だ。図書室は利用する人がそもそも少ない。そのせいで、図書委員は実質働いていなくて、私が初めて足を踏み入れた時は酷い有様だった。


本があるべき場所に入っていない。あちこちに積まれていたり、シリーズ物なら途中1巻が抜けていたり。

酷い有様な図書室を綺麗にしていくのが私は好きだった。


ふりかけが振られた白米の最後の一口を食べ切ると、お弁当の蓋を閉じた。


𓂃◌𓈒𓐍


放課後を告げるチャイムが鳴ってから早30分ほど経過した。掃除当番を終えた私は例の如く図書室に来ていた。


先輩がいることを期待していたけれど、パッと見渡しても見当たらないし物音1つしない。

踵を返すと1年片付け続けてやっと足を止めずに歩けるようになった床が上靴と擦れてキュッと鳴った。


先輩との再会はすぐに訪れた。窓際に積まれた古い本数冊を奥の倉庫へと運んでいた時だ。


「えっ……!?」

倉庫へと続く下り階段にその人は3段ほど下がった段で壁に背を預け、足を伸ばして眠っていた。
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