柊星くんは溺愛したい
重い本のせいで腕が痛くなってきていたが、驚きでそれも忘れてしまう。


いくら掃除してるからってこんな図書室の奥で探していた先輩が眠っているなんて!!

嬉しい気持ちがある反面、会ってところでどうするんだ。昨日のお礼を言ってその後は……?


先輩が起きてしまう前に一旦自分の中で整理しよう、と後ずさりした。


____ドンッ

すぐ後ろにあった本棚に背中を思い切りぶつかった。隙間のある棚だったため、ドミノ倒しのように本がパタパタと倒れていく。


「……ん」

多分今の私は顔が青白いと思う。沙也香ちゃんが見たらすぐに保健室に連行されるほどに。

先輩を見ると固く閉ざされていた目がゆっくりと開く。瞼が上がり、髪色に似た色の瞳がだんだんと光に触れる。


すっかり目を覚ました先輩は身体を伸ばしながら音が発せられた場所、つまり私の方を向いた。

「ごめん、邪魔だったか」


私の顔を見て、それから視線がスっと下がり厚い本を数冊持っていて限界を迎えそうな私の腕を捉えると言った。

先輩は気だるげに立ち上がり、階段を登って直立不動に陥っている私に両腕を伸ばした。


「持つよ。困らせちゃったお詫び」
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