追いかけろ、青。
「今日の課題、疑問点、家でできることもある。しっかり復習して明日に活かすように。お疲れ!」
「「「あーっした!!」」」
「ありがとうございました」と「お疲れ様でした」を組み合わせた最終形態、「あーっした」
もはやあれは省略語でもなんでもなく、暗号みたいなものだ。
まだ日は落ちていないが、濃い青空が広がった16時過ぎ。
片付けやマウンドの整備を終えると、やっと部員たちは緊張感を緩めた顔をしながら散らばった。
「彗!」
ああ、やったなあいつ……。
ゆっくり着替えてからでいいし、みんなが帰ってからでいいのに。
練習着を隠す上下セットのウインドブレーカー野郎は、ベンチに座った私の場所へと駆けてくる。
「おい洸大!お前だけリア充してんじゃねーよ!!」
「まじそれ!そーいうのは甲子園行ってからだろーがっ!!」
「えっ!あのひと友利先輩の彼女っすか!?」
「うわー!いちばん青春してんじゃないっすか…!!アオハルっすよアオハル!!」