追いかけろ、青。
「聞いてくれ彗。部活、帰る、家トレ、飯、風呂、寝る、起きて部活、……わかる?
そんな生活に勉強とか入れてたら甲子園は無理だって」
だったら野球部のみんなはどうしてるの。
その説明だと、今まで甲子園に出場した高校生たちは皆して頭のほうは弱いという理論にもなる。
そもそも野球部だけじゃなく、サッカー部にバスケ部。
みんなそれぞれ大きな目標の上で学業と両立させているはずで。
「まえにお前が宮田に数学教えてたときさ。それ…すげー分かりやすかったんだよ」
「……また盗み聞き」
「おう。見てるよいつも」
「………」
見てるよ、いつも。
サラッと言うには少しだけ気持ち悪いセリフだ。
けど、私の感情は複雑さと良くわからない変わった何かが小さく芽吹いた。
「……ここの問4も計算はあってるけど、答えが間違ってる」
「えっ、まじ?」