追いかけろ、青。
「先輩と試合してるときも伝わってくるものがあった。なんか……責められてるってよりは、背中を押されてる感覚?みたいな感じかな」
ただ目標ができたからじゃない。
ただ夢が見つかったからじゃない。
彼らはいろんな気持ちを背負っているから、あんなにもハードな練習メニューにも弱音を吐くことなく毎日特訓しているんだ。
「俺、それだけで認められた気がした。俺も甲子園を目指していいんだって、…認められた気がしたんだよ」
「…気がした、じゃないと思う」
それは、認められたの。
託されたんだよ、先輩の夢を。
言葉のないエールのなかで。
「……おう」
叶えたかったひと、叶えられなかったひと、遅かったひと、諦めたひと。
今までも、このマウンドで汗よりも涙を流した高校球児たちがたくさんいるんだろう。
きっとお父さんも、その1人だったんだ。
「お、ナイスボール!」
「友利っ、下からだからね…!さっきみたいにふわって投げなかったら怒るからバカ…!」
「…なあ彗、笑ってみろって。ほら、いーーって!」
「……そんな余裕ないからっ」
「…ん。今はな、りょーかい!」
ずっとずっと小さな頃。
こうしてお父さんと同じことをした記憶がひとつ、甦った───。