追いかけろ、青。
「いや、この大会は地区大会までなんだよ。だから若戸はそもそもブロックが違う」
「あ~、そうなのかー」
立ちはだかる絶対的な壁、若戸学園高校。
甲子園に行くには必ず通らなければいけない道。
各都道府県から選ばれた1校しか出場することができない───それが、甲子園。
「でもさでもさっ、本当に行けちゃうんじゃないの!?だって八木坂が準優勝だよ?地区大会進出だよ?なんかいっきに近づいたイメージっ」
「ここまで来たら応援したくなっちゃうよね~!あたし吹奏楽部に変えようかなー?
だってもし行けたら甲子園球場でしょ?関西だよ関西っ」
「そんなに甘くないよ甲子園は」
女子生徒たちの明るい会話をズドンと暗くさせたもの、それはマネージャーである彼女の一言だった。
森さんは私とはまた違った意味で女の子たちから避けられている。
「ね、そうでしょ友利」
ただそんなもの気にもしない彼女は、友利だけの意見を求めていた。