追いかけろ、青。




「いや、この大会は地区大会までなんだよ。だから若戸はそもそもブロックが違う」


「あ~、そうなのかー」



立ちはだかる絶対的な壁、若戸学園高校。

甲子園に行くには必ず通らなければいけない道。


各都道府県から選ばれた1校しか出場することができない───それが、甲子園。



「でもさでもさっ、本当に行けちゃうんじゃないの!?だって八木坂が準優勝だよ?地区大会進出だよ?なんかいっきに近づいたイメージっ」


「ここまで来たら応援したくなっちゃうよね~!あたし吹奏楽部に変えようかなー?
だってもし行けたら甲子園球場でしょ?関西だよ関西っ」


「そんなに甘くないよ甲子園は」



女子生徒たちの明るい会話をズドンと暗くさせたもの、それはマネージャーである彼女の一言だった。

森さんは私とはまた違った意味で女の子たちから避けられている。



「ね、そうでしょ友利」



ただそんなもの気にもしない彼女は、友利だけの意見を求めていた。



< 122 / 377 >

この作品をシェア

pagetop