追いかけろ、青。
「っしゃあ部活!!はやく行くぞ洸大!グラウンド10周と素振り100回しねーとグローブ持てねえんだから!」
「泰希、おまえ日直だろ。日誌とか大丈夫なん」
「森がやっておいてくれるって!だから甲子園行けって言われたわ」
「ははっ。森らしいな」
今日も放課後のホームルームが終われば、誰よりも最初に教室を出ていく球児たち。
キツい練習が待っているというのに、表情は太陽の光を注がれた新緑のようだった。
新たに10人以上もの1年生が入部したらしく、また盛り上がった野球部。
───と、教室を出ようとしたひとりが足を止めてクルリと振り返る。
「また明日な、彗」
爽やかに放っては、小さく微笑んだ友利。
わざわざ私だけに……挨拶、だと。
「……また明日」
「…おう」
それだけ交わして、満足そうに部活へ向かっていった。