追いかけろ、青。




最近になって、部活終わりの俺を待ち伏せるようになった後輩が1人いる。

かつてもそんな帰り道を歩いたものだったが、とっくに忘れていた存在。



「あっ、ねえサヤカ!友利先輩きたよ!」


「本当だっ、洸大先輩~!今日もお疲れ様です~」



それは俺のことを“キャッチャー姿だけが好き”だと言ってくれた子。

地位や名誉で人の価値を決める2年となった後輩。


どんどん嫌な女になっていく元カノでもある後輩を、俺は関わるたびに嫌いになってゆく。



「……いーって。別にいちいち待ってなくて」


「ふふっ、わたしが待ちたいんです~。なんか懐かしくないですか?前もこうしてたなあって」



俺の自転車の背中、当たり前のように乗せてもらえると思っている。

だから俺は「交通違反だから」と、冷たく断っておいた。


もう関係がないってのに。

この後輩の応援なんかじゃ、俺は甲子園へは行けない。



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