追いかけろ、青。
「あのさ、おまえチア部とか興味ない?」
「チア部…?チアリーディングですか?」
「そう。ちょうどもうすぐ抜ける予定の生徒がいるらしいんだけど、…そこに埋め合わせとして入ってくんね?」
「え~!それってもしかして…」
わたしとヨリを戻すってことですか───?
どこをどう聞いたらそう聞こえるんだと呆れるほどの、あたまの弱すぎる理解力。
「まあ……、俺が甲子園行ったら分かんじゃねーの」
「そうですねっ!考えておきます!」
「…ああ、頼むわ」
明日からは部室の裏から自転車置き場に行こう。
それか、気安く声かけられても「だれ?」って返してやろうか。
俺だってそこまで鈍感じゃねーよ泰希と宮田。
わかってるよ。
いろいろ、わかってんだよ。
だからこそ俺が優しくしたいのも、独り占めしたいのも。
ひとりだけってこと。