追いかけろ、青。




「あのさ、おまえチア部とか興味ない?」


「チア部…?チアリーディングですか?」


「そう。ちょうどもうすぐ抜ける予定の生徒がいるらしいんだけど、…そこに埋め合わせとして入ってくんね?」


「え~!それってもしかして…」



わたしとヨリを戻すってことですか───?

どこをどう聞いたらそう聞こえるんだと呆れるほどの、あたまの弱すぎる理解力。



「まあ……、俺が甲子園行ったら分かんじゃねーの」


「そうですねっ!考えておきます!」


「…ああ、頼むわ」



明日からは部室の裏から自転車置き場に行こう。

それか、気安く声かけられても「だれ?」って返してやろうか。


俺だってそこまで鈍感じゃねーよ泰希と宮田。


わかってるよ。
いろいろ、わかってんだよ。


だからこそ俺が優しくしたいのも、独り占めしたいのも。

ひとりだけってこと。



< 147 / 377 >

この作品をシェア

pagetop