追いかけろ、青。

交差する本心





なんか、ちがう気がした。
単純に“こうじゃない感”と言うのだろうか。


桜が散って新緑色がグラウンドに広がる、とある土曜日。


野球部の応援専門と前々から言ってあったにも関わらず、バスケ部の応援に欠席枠が出てしまったらしく。

その埋め合わせに来て欲しいと金丸さんに頼まれた私。


金丸さんにはいろいろ迷惑をかけているからという理由と、会場までは学校から送迎バスが出るため、場所を言い訳に断れなかった。



「いーれーろーー!お前が入れなきゃ誰が入れるーー!いけいけ川島!押せ押せ川島!!」


「「いけいけ川島っ、押せ押せ川島!!」」


「つぎ八木坂マーチ2いくよ!みんな準備して!」


「「はいっ!!」」



ブラスバンドに合わせてひとりが声を張ると、残りの全員がポンポン両手に振り付けをしながら繰り返す。

これがチアリーディングという感じはしたが、そのなかで心から応援できない私がいた。


初めての、こういった形での応援。


それがまさか何の接点も無ければ顔すら知らない、バスケ部の川島くんになってしまうとは。



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