追いかけろ、青。
外野に立つチームメイトからの大きなロングパスがキャッチャーへと帰ってくる。
ホームにて構える友利。
「あっ、わりい…!」
「俺の渾身のレーザービームが…っ!!すまん洸大…!!コントロールミスったかも俺!!」
「いや、完全に俺のキャッチミス…!マジごめん!!次こそ捕っから…!」
「しゃーいっ!気合い入れてけーーー!」
大きく長く飛んできたボールは、ミットに入ることもせず友利の背後に抜けて行った。
ライトからの送球は良かったため、これはキャッチャーが一瞬の隙に見せた体勢の傾きで生じた結果だとは、私にも分かった。
「友利どうした。ここんとこ小さなミスが多いぞ。気ぃ引き締めろ」
「…すみません」
「なにかあったらどんなことでも言えよ。抱え込むことだけはやめろ」
「…はい」
あの日以来、学校でも話す頻度が減っていた。
今までは“私だけ”をしてくれていた友利が、そうではなくなった。
そして私もどうしてか目を合わせることすらできなくて。