追いかけろ、青。
前はこうして遠くから見守っているだけで満足したはずなのに、今日はそれもまた違う。
「下手なことしたら許さないって言ったはずでしょ」
トゲのように容赦なく刺してくるのは、この人しかいない。
私を見つけたからか、それともたまたまか。
また、あの日のような水道場が繰り広げられる前兆。
「……してないよ」
「友利、最近とくに調子が悪いの。思い詰めた顔もしてるし、もう近寄らないで欲しいんだけど」
見ることもダメなの?
こうして遠くから見ているだけも、ダメ?
ねえ、どうしてダメなの。
私が物理的に彼の調子を崩すようなことをした?
森さん、それはただあなたの私情を私にぶつけてきているだけじゃないの。
「本人は甲子園に行くまで恋愛はしないって言ってる。だから、邪魔しないでよ。友利の夢を」
「それは森さんの夢でしょ」
「…は?」
どちらが正解かなんて分からないけど、理不尽だと思った。
ただただ、理不尽だって。