追いかけろ、青。
「……友利は…キャッチャー、ですけど」
「キャッチャー?……へえ、でも結局はまだやってんだあいつ」
「え…?」
一瞬、唇をぎゅっと噛んで。
こぶしをぐっと握りしめていた。
「教えてくれてどうもありがとう」
何事も無かったように、キャップを深く被った彼はスタスタと反対方向へ。
とりあえず……疲れた。
帰って音楽でも聴いて寝たい。
「りゅ、流星(りゅうせい)くん…、ここ外だよ…?」
「だれも通らないよ。…だからいい?」
「っ、は、恥ずかしい…」
「……お願い」
ごめんなさい、通りました。
私の通学路でイチャイチャされても困ります。
女の子は制服、男の子はジャージ。
たぶん中学生なんだろうけど、こーいうものはもしかすると都会より田舎のほうがオープンなのかもしれないと。
「…………」
「…………」
だから忍者に向いてないの、私。
ペキッと枝を踏んでしまって重なりあう計6つの目。