追いかけろ、青。
「きゃあっ!!ほっ、ほら!ひとっ、人いるもん流星くん…!!」
「あっ、いや、もう過ぎ去るので大丈夫です。どうぞ続けてください」
「もう…っ、やだあーーーっ!!」
まるで不審者みたいな扱いしてくるな、この子…。
黒髪マッシュの男の子くんは無表情でポーカーフェイスを貫いてるけど、女の子ちゃんが爆発状態。
「ごめん。明日は我慢するから」
「あっ、明日も明後日もだよ…!これからずっと…っ」
「それはたぶん無理かも」
とりあえず私は空気を読んで早歩き。
何かがある日って、こんなにも立て続けにあるなんて知らなかった。
それにしても黒髪マッシュくん、だれかに雰囲気が似ていたような…。
「ただいま……」
あれ………?
玄関がいつもよりスッキリしている。
だけじゃなく、居間からも伯母さんの声が聞こえてこなかった。
家のなかはシンと静まり返っていて、やっと私だけの世界が来たんだと少しだけ喜んでいれば。
「あら彗ちゃん、ちょうど良かった!もう始まってるわよ!」
ガラガラガラと、忙しく戻ってきた現実。