追いかけろ、青。




見るかぎりそこまで変わらないと思いますよ、歳。



「マジ田んぼと山ばっかだよなー、この町。まあ俺はわりと気に入ってたりすんだけど。あ、クマ出るとか言われてっから気をつけてね、熊」



年下だと勘違いした途端、こうも簡単にフットワークが軽くなる。

大嫌い、こーいうひと。



「きゃあ…っ!!」



とつぜん叫んでしまったのは、わたしの目の前を小さな虫が飛んできたから。

手でパッパッと追い払っても、まだ身体のどこかにまとわりついているんじゃないかと不安だ。



「ははっ、ただの雪虫。ビビりすぎ」


「……ゆき…むし…?」


「身体に綿みたいなの付いてて、雪みたいで可愛いから俺は雪虫って呼んでる」



その落ち着きようで返されると、叫び声をあげた私がおかしいみたいだ。

この自然だらけの場所、四方八方が虫の発生地帯なのではないかと思うと背筋が震える。



「……もうやだ…、熊とか言うし……ほんとありえない…」


「んー、考え方次第じゃね?無料で開放されてる動物園!とか思えば」


「……危なすぎでしょ」



< 16 / 377 >

この作品をシェア

pagetop