追いかけろ、青。
見るかぎりそこまで変わらないと思いますよ、歳。
「マジ田んぼと山ばっかだよなー、この町。まあ俺はわりと気に入ってたりすんだけど。あ、クマ出るとか言われてっから気をつけてね、熊」
年下だと勘違いした途端、こうも簡単にフットワークが軽くなる。
大嫌い、こーいうひと。
「きゃあ…っ!!」
とつぜん叫んでしまったのは、わたしの目の前を小さな虫が飛んできたから。
手でパッパッと追い払っても、まだ身体のどこかにまとわりついているんじゃないかと不安だ。
「ははっ、ただの雪虫。ビビりすぎ」
「……ゆき…むし…?」
「身体に綿みたいなの付いてて、雪みたいで可愛いから俺は雪虫って呼んでる」
その落ち着きようで返されると、叫び声をあげた私がおかしいみたいだ。
この自然だらけの場所、四方八方が虫の発生地帯なのではないかと思うと背筋が震える。
「……もうやだ…、熊とか言うし……ほんとありえない…」
「んー、考え方次第じゃね?無料で開放されてる動物園!とか思えば」
「……危なすぎでしょ」