追いかけろ、青。
「夢、あるだろ。お前にも」
「……甲子園、」
「そりゃもちろん。でも…、今度は彗発信の夢、あんでしょ」
まだまだ知らないことを学びたい。
勉強が好き、というのも理由のひとつ。
でも、いつかは人の役に立てるような人間になりたい。
「大学、行きたいって顔に書いてある」
「っ、」
お金がかかる。
なにをしたってお金は付き物。
あの親戚たちに話したところで無意味だろうからと、この気持ちだけは自分のなかで消すしかないと思っていた。
───のに、どうして当ててくるの。
「…だったらそれは俺の夢でもあるわ」
「……無理だよ…、私の場合は」
「なら、俺も無理だって思う?俺なんかが甲子園に行けるわけねえって、思う?」
「……思わ、ない」
「だろ。それは俺も一緒なんだよ」
やり方はいくらでもある。
きっと、なにか方法が見つかる。
たとえ万が一、やっぱり駄目だったとしても。
それは“駄目”じゃないんだ。
新たな道が見つかったということ───。
「ともり…、」
「…ん?」
「…私も…、友利だけを……応援、したい」
「……知ってる」
星空の下、しばらくその手はお互いに離さなかった。