追いかけろ、青。
中学校ではライバルだったけど、高校で同じチーム。
そして一緒に甲子園を目指した、というドラマ的展開があるんだろう。
しかし、返ってきた答えは否定だった。
「実はそいつら、両方が共通した“とある出来事”がきっかけで野球を捨てたんだよ。そこまで同じだなんて…ほんと笑っちゃうだろ」
だから若戸には行けなかった───と。
まるでそれは、かなり身近な人物の人生を話しているかのような親密さがあった。
「…喧嘩でもしたの?」
「んー、片方は“やめるべきだった”。でももう片方は……“やめるしかなかった”」
似ているようで、きっと噛み砕くとそれぞれにストーリーがあるんだろう。
「ピッチャーAくんは、そのピッチャーBくんに大怪我を負わせてさ。…2度と野球ができない身体にさせたんだよ」
負わせた、させた。
なんとも攻撃的で嫌みだらけの説明だ。
彼はたぶん、ピッチャーBくんの肩を持ってる側の人間なのだろう。
「対するピッチャーBくんは、ピッチャーAくんに大怪我を負わせられて、……2度と野球ができない身体にさせられた」