追いかけろ、青。
「終わったと思った、私も。家族がいなくなった、歩くつもりだった道が一瞬で消えた、親戚には嫌われてる。
この出来事をこの先ずっと背負って生きていくしかないんだって」
真っ暗。
どこに光があるんだってくらい、真っ暗。
街灯のないこの町よりも、ずっとずっと足元なんか見えなかった。
「でも……とある出会いが、とある人が、私に夢を与えてくれてね」
「…夢?」
「…うん。その人を見てると、忘れてたお父さんとの記憶を少しずつ思い出すの」
ひとりじゃないんだって、思える。
どんなに窮屈で、気をつかう場所で生活していたとしても。
この町にはそいつがいるから、まだ頑張れるかなって。
いつからか思えるようになった。
それは、ただがむしゃらに、一生懸命に、今を生きている友利がいたから。
「こんなこと言ったら怒られるかもしれないけど…、私は今のほうが“生きてる”って思うんだ」
「……どう考えても苦労してんのに?」
「…苦労するから人生なんだって、私は気づけた。人の生は……たぶんそれくらいがちょうどいいよ」
「……、」