追いかけろ、青。
『あの、久賀くんの様子は…』
『……水悠なら、もう大丈夫だから。友利くんも毎日お見舞いに来てくれなくていいのよ』
『いや、でも───』
『お願い。…親である私も、あなたの顔を見るとつらいのよ』
子の夢は、親の夢。
スポーツの世界は大体がこんなものだ。
親がきっかけで子供に興味を持たせるのが発端だろう。
自分の息子と似た境遇の俺だからこそ尚更、久賀の親が俺へと向けた恨みは大きかった。
『……申し訳……ありませんでした』
何度そう言って頭を下げつづけただろう。
面会も拒絶され、様子を伺いに行くことすら断られて。
ただ俺には、それくらいしかできなかったから。
俺がやってしまったことは、そういうこと。
『あいつよく続けてるよな。あんなことしといて』
『メンタル強すぎ。強心臓かよ。ってか、逆に心無さすぎんだろ』
『野球部に迷惑だっつーの。さっさとやめちまえよ』