追いかけろ、青。
完全に実力がすべて。
使えるか、使えないか。
即戦力になるか、ならないか。
3年だから、最後だから。
この理由が許されるのは去年まで。
今年の目標はそんなことを言ってられないくらい、実力ばかりが揃った場所へ俺たちも立とうとしているのだ。
「先輩のぶんまで…全力を尽くします」
「…ああ、頼んだぞ」
「はい…!」
なかにはレギュラー入りできなかった3年もいる。
その部員は中学から野球を始めたため、小学生からの経験者である後輩とはやはり、どうしたって差がついてしまっていた。
今も涙ぐんだ声で後輩の背中を叩いていた。
俺だって渡されたゼッケンを見つめるたびに、他の部員にはない思いが駆け巡る。
キャッチャーである2という番号を背負い、打順は5番。
そのなかでもクリーンナップと呼ばれる3番~5番の打線には、ホームランバッターや強打者が当てられる。
塁に出ているランナーをホームに返す役割を受け持つ選手が選ばれ、確実に点を取るための打線。