追いかけろ、青。
そのひとりに選ばれた緊張感と、責任。
「洸大…?どこ行くんだよ?」
「教室に忘れ物。じゃーな、お疲れ!」
「おう!おつかれ!」
ミーティングも終わり、八木坂野球部指定のスポーツリュックを背負いながら下駄箱へと移動する部員たちのなか、俺は抜けるように教室へ向かった。
いつも基本は置きっぱにしている現国の教科書だけど、今日に出された課題で使うことを思い出して。
「気合い入ってるね、友利」
「…そりゃな。ここは俺たちにとっての通過点にしてーから」
「ふふっ、さすが」
そんな俺と一緒に教室に入って来たのは、マネージャーでありクラスメイトの森。
用を済ませたらサッと帰る予定だった。
しかしそれを止めてきたのもまた、森。
「これ…、友利に」
普段は相手にしないされないスタンスでサバサバしたクラスメイトだが、マネージャーとなると森は少し変わる。
でもそれは俺と関わるときのみ。
なんつーか、すげえ女の子って感じ。