追いかけろ、青。
今も俺の前に森 静奈が差し出したものは、先ほどのミーティングでマネージャーたちが部員に配布していたお守りだった。
「……さっき貰ったわ俺も」
「そーじゃなくて。…これは友利だけに作ったから」
「………」
確かに刺繍された文字が違った。
レギュラーメンバーに配布していたほうはそれぞれの背番号が縫われていたが、俺がいま目を落とす先には「信」と縫い込まれている。
なにを信じているんだろう。
なにを信じたいんだろう。
森は本当は、だれを、信じつづけているんだろう。
「……ごめん。それは貰えない」
「っ、…なんで、」
「森は俺にとって、マネージャーだから」
それ以上でも、それ以下でもない。
森が俺に向ける気持ちの正体に気づかないほど鈍感じゃない。
だからこそ、ここはハッキリ言うべきなんだ俺も。
俺自身だけじゃなく、森のためにも。