追いかけろ、青。




「あたしっ、友利のことが…好き。でもそれはっ、それは…、今のあんたは甲子園が夢だから、別にその先を求めてるわけじゃない」



でも、特別でいたい。
誰よりも近くで応援したい。

元気ないときは駆けつけて、弱音を吐いたときは受け止めて。



「そうやって…、ただあたしは……友利のそばに…、いたいだけ」



それが“今の”森にとっての甲子園なんだろう。


だとしても受け取れないと思った。

この特別に作られたお守りを渡されたところで、俺が本当に欲しいものは手に入らない。



「実は俺にとって甲子園も、もしかすると通過点かもしんなくて」


「……プロ野球ってこと?」


「はは、違う違う。…でも、その先にあるんだ。……俺がいちばん欲しいもの」



欲張りだよな、ほんと。

今の現状で満足するべきだってことは分かってるけど、どんどん欲しくなって仕方ない。


どうしたら笑ってくれるんだ。
どうしたら泣いてくれるんだ。



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