追いかけろ、青。
『なあ母ちゃん、俺バイトできねーかな』
『バカなの?バイトしながら行けるほど甲子園は甘くないわよ。あんたにそんな器用な両立は無理。おつかれ』
『…………』
少し前、母親とそんな会話をした。
ぐうの音も出ないほど論破されて終わったのだが、もちろんそれも分かってのことで、だとしても俺は本気だった。
部活の合間にできる良いバイトは無いかって。
小遣い稼ぎ程度でもいいから、知り合いとかに頼めないかって。
理由としては、とある子のもう1つの夢を応援するため。
『もし…もし』
「あっ、わりい急に。俺だけど、いま平気?」
『…えっと、それが今───』
声が聞ければ満足だった。
プラス、少しでも彗の気分転換になれたらいいと。
だけど俺は。
彗から気まずそうに続けられた言葉によって、サドルに股がり全速力で家に帰ることになった。