追いかけろ、青。




よろしい、と言って笑顔を振りまく母親。

を見て、どこか緊張が和らいだ様子の彗。


夕食が並んだテーブルには、いつもと比べて1セットずつプラスされていた。



「ご近所さんから頂いたピーマン運んでたらね、コロコロコロ~って。まさかの袋が破けちゃって!
ちょうど後ろを歩いてた彗ちゃんに助けてもらったのよ~」


「おとぎ話かよ」



なんか似たような話、あったよな。
おむすびが転がってくやつ。

相変わらずな母親とまさかの彗という、珍しい組み合わせの馴れ初めは、こんなものらしい。


ただ、母ちゃん。


あの日の地区の集まりで彗の顔は見ていたと思うから。

俺が話してるとこも、それに彗の親戚とも関わりはあると思うし。



「あんたのクラスメイトの子だって知って、今日のお礼だけじゃなくいつもお世話になってるみたいだから、一緒に夕飯どうかしら?ってね」



すでに彗側には了承を取っているんだろう。

息子の俺からすれば、だろーなって納得でしかない。



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