追いかけろ、青。
そこの心配はとくに最初から無かった。
昔から俺の母ちゃん、世渡りだけは上手すぎて引くレベルなんだよな。
「……ただいま」
「あらっ、あんたいつから居たの!おかえり流星、今日はちょっと遅かったのね」
「お腹すいた」
幽霊のように現れる弟、登場。
何もかもが謎なこいつは、3歳離れた兄である俺ですら完全なる生態を理解しきれていない。
「部活?陸上部ってそんなおせーの?」
「……まあ」
嘘つけよ。
どーせそのあと、いつの間にか作ってたらしい彼女と会ったりしてんだろマセガキが。
俺とこいつは昔から周りに「ほんっとに性格が正反対だね」と、言われる。
幼少期はそこまで思わなかったけど、最近だった。
俺が太陽ならこいつは雨、くらいの差があると感じるようになったのは。
変わった次男坊、それが俺の弟である友利 流星(ともり りゅうせい)、中学3年生。