追いかけろ、青。
ベッド脇に飾ってある俺の宝物。
この選手に憧れて野球を始めたのがきっかけだったから、初心を忘れないためにも、その写真だけは身近な場所に置いてあった。
「見る?」
「うん」
ちょうど彗が座っていた先。
隣から腕を伸ばせば届く距離、いちいち立ち上がる手間暇を省きたかった。
ただそんな行動が、のちにとんだ後悔をすることになる。
「ちょっとホコリ被ってっかも」
「……っ、友利、ちかい、」
「……わりい」
ふわりと鼻をかすめる石鹸の香り。
完全に俺のものではなく、女子にしか出せない匂いってのがある。
この距離感でしか届かない色香だったり、気づけば俺が伸ばした腕のなか、なぜかそいつが入っている構図が完成されていたり。
「…あのさ。さっき笑ってたじゃん」
「……なんのこと」
「もういっかい見てえんだけど、あの顔」