追いかけろ、青。
「あ、ごめん」
「………ごめんじゃねえわ。さっさと閉めろ」
「…デジャヴだ」
「は?」
「初めて兄貴と血を感じたかも俺」
「はあ?───うぐっ…!!」
ドンッッ!!
油断していた俺の身体は、真っ赤な彗の抵抗によってようやく離れた。
「あっ、謝らないから…!ケガしても謝らないから…っ」
大丈夫、そんな痛くねえから。
……つーか、そーいうとこもすげえ可愛いんだよな。
「……あんた、もしかして手ぇ出した?」
それは、彗を車で送り届けたあとの母親の第一声だった。
本当であれば俺が送っていくつもりだった。
だがしかし、彗が頑なに「ひとりで帰ります」と言ったから、結果として母ちゃんが出動するハメになって今。
「さっき部屋でやらかしたかって聞いてんのよ母さんは。おい猿、誤魔化しはナシだからね」
「……手は…出して、ないす」
「流星、どーなの?」
「ふつーに出してたよ」
「はあーーー???洸大あんたね…!!」
だからなんだよ、その謎のタッグ。
なんで本人より流星の意見を信じてんだよ母ちゃん。