追いかけろ、青。




でも俺。


こうやって当たり前のように甲子園に行くことを信じて、応援してくれる家族が居てくれること。

ほんとはすげえ感謝してんだよ。



────その翌日のこと。



その日は自転車通学をやめて、部活が終わったあとすぐに電車に乗った。

ちょうどな時間に乗れたし、帰りはタクシーでも迎えでも、そのとき考えればいいと。


俺は、そこから4つ先の高校へと通う男子生徒の自宅へと向かっていた。



「───…友利、くん」



何年ぶりだろう。

俺がこうして向かうことを彼女に拒絶されてから。


玄関前に現れた俺を見て、久賀のお母さんは言葉に迷っていた。

こんな時間に連絡もなく来てしまったし、さすがに驚かせたとは思う。


だけど、俺にとっての試合はここにもあるんだ。


ずっとずっと終わらないままだった、試合が。



「ご無沙汰してます。久賀は…、いますか?」


「え、ええ。でも今は……」


「───いーよ、上がってもらって」


「っ、水悠…、」



母親の背後からかかった、声。



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