追いかけろ、青。
それもまた、久しぶりに顔を合わせる同級生。
中学2年、あどけなさのあったあの頃の俺たちでお互いに記憶は止まっていた。
「いや、立ち話でいいんだ。久賀、ちょっと話せる…?」
「…わかった。玄関の外でいい?」
「十分。ありがとう」
俺のほうが背丈が大きくなっている。
体つきも、俺のほうが筋肉があると見ただけで分かる。
それは野球を続けたか、辞めたかの違いだった。
「水悠、」
「俺なら大丈夫だから」
母親を安心させて、久賀は俺が立った玄関先に出た。
ここをどうにかしなければ、俺は明日の初戦に挑めないと思った。
もちろん経験者ともなれば、明日から夏の予選が始まるのは久賀も知っているはずだ。
かつて俺たちは、同じ夢を追いかけていたんだから。
「俺、甲子園行くよ」
身体のほうは大丈夫か。
あのとき、本当にごめん。
そうじゃなく、俺はただそれだけをいきなり伝えた。