追いかけろ、青。




これは嫌味でも自慢でも、なんでもない。

プレーでしか伝い合えなかったことがあるように、今だって同じ。



「必ず、行くから」



お前の気持ちも持っていく、とか。
俺より才能があったお前のぶんまで、とか。

そんな偽善に溢れた綺麗事なんか安易に口には出せないけど。


俺は、甲子園に行く。


いま立っている場所から、甲子園を目指す。



「許されるなんて思ってない。俺のことは…、許さなくていい。許すべきじゃない」



何度も何度も探したよ。
“ごめん”以上の言葉はないかって。

謝罪の言葉をあるだけ探すしか、過去の俺にはできなかった。


それしか、できなかった。


行動で示すなんて格好良いこと、できなかったんだ。



「八木坂高校の野球部キャッチャーとして、俺は行くから」



俺たちが目指していた若戸学園じゃない。

今の俺は中央に立つピッチャーじゃない。
エースでも、主将でもない。


その上で必ず行く、と。



< 224 / 377 >

この作品をシェア

pagetop