追いかけろ、青。
これは嫌味でも自慢でも、なんでもない。
プレーでしか伝い合えなかったことがあるように、今だって同じ。
「必ず、行くから」
お前の気持ちも持っていく、とか。
俺より才能があったお前のぶんまで、とか。
そんな偽善に溢れた綺麗事なんか安易に口には出せないけど。
俺は、甲子園に行く。
いま立っている場所から、甲子園を目指す。
「許されるなんて思ってない。俺のことは…、許さなくていい。許すべきじゃない」
何度も何度も探したよ。
“ごめん”以上の言葉はないかって。
謝罪の言葉をあるだけ探すしか、過去の俺にはできなかった。
それしか、できなかった。
行動で示すなんて格好良いこと、できなかったんだ。
「八木坂高校の野球部キャッチャーとして、俺は行くから」
俺たちが目指していた若戸学園じゃない。
今の俺は中央に立つピッチャーじゃない。
エースでも、主将でもない。
その上で必ず行く、と。