追いかけろ、青。
「……いた」
さすが元ピッチャー。
キャッチしてすぐに行う送球が、見入ってしまうほどのスピードとコントロール。
チームメイトに何やら指示を出して、再びしゃがむ。
窓から見下ろした先、仲間たちから送られる白球をミットで受け止める友利がいた。
────…トクン。
「っ…?」
優しく叩いてきたかと思いきや、気にすれば気にするほど小刻みな音に変わる。
苦しい感覚はするが……嫌ではない。
奴には感知センサーでも付いているのだろうか。
2階校舎から見つめていた私に気づいて、右手を青空にあげながらギリギリまで近寄って。
太陽よりもきらめく笑顔を私だけに向けてくる。
「……練習に集中しろ、バカ」
ふいっと背けてしまった。
気づいていないふりは、遅かったかもしれない。