追いかけろ、青。
だから私は、つんっとそっぽを向く。
「ふはっ…、あーっと、野球部でピッチャー……ではなく、キャッチャーしてます。
ちなみに過去にはベスト8に入ったりして。よろしく」
「よっ、目指せ甲子園!」
「あ、何度も言ってるけど甲子園は目指してねえから俺たちの部は。つーか、そんな簡単に目指せる場所じゃねーってさすがに」
「まー、若戸(わかと)の壁は高ぇよなあ~」
野球部……、
ああ、そう言われれば見えなくもない。
あのとき去る寸前に落ちたのは野球ボールだったから、今になって納得。
ちなみに第一ボタンが取れた学ラン姿だと、なぜかあの日よりも若干尖って見える。
「友利、あたしはあんたならいけると思うよ?」
「おお~!さっすがマネージャー!言葉に貫禄あるわー」
いたな、そういえばひとり。
野球部のマネしてますって言ってた子。
……名前は忘れちゃったんだけど。