追いかけろ、青。
必要不可欠な勝利
「よし、そこまで。伏せた状態で後ろから集めてくれ」
テストばかりの3年生。
クラスメイトたちがどんな進路を見据えているのか、私はよく分かっていない。
それもこれも、この学校は今のところはまだ受験よりも部活となっているから。
「友利…?おまえ何してるんだ。まだ授業は終わってないぞ」
3限の小テストが終わると、リュックに教科書を詰めて帰る準備をしている生徒がひとり。
それは制服の下に巻いたバストバンドで胸部を固定し、一見すると「大丈夫なんじゃないか?」と思わせてくる男子生徒。
「テストは受けたっす。朝から来てるから出席扱いにもなっただろうし、…んじゃ」
「あっ、おい友利…!」
まるでそれをクリアするためだけに学校に来ている、という猛者。
ただ、友利の状況は全校生徒が知っていた。
先生も余計なことは言えない。
クラスメイトたちもどう声をかけてあげればいいのか、わからない。