追いかけろ、青。




本人は至っていつもどおり過ごしているが、やはりどこかに緊張感がある。



「いよいよ明日だろ、2回戦。大丈夫なのかよ野球部…」


「友利、やっぱベンチ入りどころかボールボーイすらさせてもらえないらしいぜ。……あんなに甲子園っつってたのに」



心配だらけなのは野球部員ではない生徒たちだった。


いつもつるんでいたチームメイトとも視線を合わせることなく、友利は早退してゆく。

マネージャーである森さんも覚悟を決めた面持ちで、前のような眼差しで友利を見ることはなかった。



「なあ…、雰囲気やばくね…?」


「もう友利は必要ねーってこと…?怪我しただけでそんな対応になるのかよ野球部って」


「まー、でも、甲子園目指すってことはさ。わざわざ同情してやるほど甘くないってことだろ」



いろんな憶測、飛び交う噂。

だとしても関係者は一切と言っていいほど口を割らなかった。



< 265 / 377 >

この作品をシェア

pagetop