追いかけろ、青。




バッテリーを組んでいたB組の有馬くんさえ、授業が終われば後輩と当たり前のように練習し始める。

八木坂高校のグラウンドからは、友利の声はパタリと消えた。



「おいっ、泰希…!!お前これで本当にいーのかよっ!」



そしてとうとう、教室を出ようとしていた1人へと、たまらなくなったサッカー部が肩を掴んで引き留めた。


彼も運動部。

レギュラー争いだったり、怪我の辛さ、スポーツをしている上での厳しさは身に染みて実感しているのだろう。



「声くらいかけてやれよ…!!森もっ、吉川だって!!中西に佐藤!!お前ら……仲間じゃねーのかよ…」



今までずっと一緒にやってきた仲間だろ。
どんなときも支え合ってきたチームメイトだろ。

こういうときに何かしなくてどうするんだ、と。


誰もが感じるだろう気持ちを言葉に出した、サッカー部。



「俺たちは俺たちがやるべきことを、…あいつはあいつがやるべきことを。いま必要なことは、それだけなんだよ」



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