追いかけろ、青。
「こーだい兄ちゃーん!つぎは本気で投げてもいーいーー?」
「カナタ!毎回本気でいいって言ってんだろーー?」
「はーーい!無理だけはするなよー!俺はいずれ甲子園に行く男だからっ」
「ははっ、俺と同じだわ!…うっしゃ来い!!」
そこは、小学校のグラウンド。
小学生たちが野球をしている放課後に、必ず友利の姿が混ざっていた。
キャッチャー防具を完全に取り付けている姿は若干浮いているが、それはれっきとした練習だからこそ。
「つぎっ、ホームラン打ってねこーだい兄ちゃん!!」
「おう任せろ」
「あっ、でも気をつけて!」
まずは小学生たちの練習から。
いきなり高校野球に復帰は難しいこと、自分の身体のことは本人がよく理解していた。
私の最近の放課後は、そんな友利をこうして遠くから眺めること。
ここで参考書を開いて勉強することもあるくらい、友利の姿は私に何かを与えてくれる。