追いかけろ、青。
「ねえねえ早見さん。でもどうしてこんな時期に、こんな町に転校してきたのー?」
「あっ、オレもそれすげー気になる!逆にオレが都会の高校に行きたいくらいなのに!」
そこで先生がフォローに入れば、逆に不信感を煽ってしまう。
だからそんな目をして欲しくなかったの。
こうなるって分かっていたから、誰だとしても踏み込みすぎず関わりたかったのに。
教師なら、そこまでいろいろ考えてよ。
あたま弱いんじゃないの。
「こらお前たち!転校理由っていうのは、家庭の事情だったりもあるんだぞ。そこはプライベートだ」
「この町にプライベートもクソもねーって!だってオレん家なんかさ、夜中でも玄関の鍵開けてっから」
「わたしのとこも商品にならないモモとか、隣の人いっつも分けてくれるよ~」
きらい、きらい、だいっきらい。
プライベートもクソもないって、それ別になんの自慢にもならないから。
むしろここはそんなにも危機感のないバカな町なんですね、としか思わない。
「……親が死んだから」
ああ、なるほどね。
これが教室内を静まらせる方法なんだ。