追いかけろ、青。




「はいでは、82ページの2行目。山田さんから順に読んでいってください」



そんなことどうだっていい。
今日はそれどころじゃない。

クラスメイトだけでなく、全校生徒がそんな思いを抱えて授業を受けているのではないかと思う。


所々空いた席を目にするだけで、生徒たちのそわそわ感は掻き立てられるばかりだった。



「あーっ、もう!!先生!この時間は自習にしよーぜ!!」


「賛成っ!ってかさ、さすがに今日くらいはテレビつけてって!!」



居ても立ってもいられなくなった男子、とうとう立ち上がる。

そこに乗っかった女子。


普段であれば厳格な現国担当の先生は冷静に注意するのだが、今日だけはと、ため息に落ちてテレビをつけた。



《試合は終盤。2-2、どちらも譲らないまま8回表に入りました》



地方局のローカル番組に、白色をしたユニフォームが映る。

見慣れたグレー地の練習着ではなく、紺色ラインで書かれたフォントが目印の公式戦ユニフォーム。



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