追いかけろ、青。
そしてマウンドには、選ばれた選手たちが散らばっていた。
《八木坂高校、なんとかピンチを抑えました!さあ反撃となるでしょうか。8回裏、八木坂高校の攻撃を迎えようとしています》
県大会、準決勝。
実況アナウンサーの解説によると、どうにも3回以降の追加点は両校ともに無いらしく、厳しい戦いが続いていた。
もしここで負けたとしても、全校生徒が野球部に拍手を送るだろう。
でも、やっぱり、ここまで行ったからには勝ってほしい。
それもまた、誰もが秘めた思いだ。
《8回裏、八木坂高校の攻撃は、4番。セカンド、和田くん》
4番から始まる打線、バッターボックスには主将が立った。
ここが勝負だ、この回でなんとしてでも1点。
だとしても背番号2を背負い、今まで5番に入っていた友利の姿は───…ない。