追いかけろ、青。
「頑張れ和田ーー!!打てーーっ」
「かっとばせー!わーーだっ!!」
この県大会ではもちろんのこと、現地にチアリーディング部も向かっていた。
たまに画面に映るチアリーダーたちや、レギュラー入りできなかった野球部員に合わせるみたく、教室内のクラスメイトも応援を始める。
隣クラスからも同じように響いては、またもや八木坂高校に生まれる団結力。
「よっしゃヒット!!」
「行ける行ける!!2累まで走れ…っ!よっしゃあ2ベースヒットっ!!」
初球から迷いなく振っていったバッターは、いきなりノーアウトランナー2塁という大チャンスを作るほどの長打を、チームメイトにプレゼントしてしまった。
盛り上がる選手たち、実況、そして私がいる教室。
《5番。レフト、前田くん》
通常どおりであればこの4番からのバトンを繋ぐ5番には、友利がいた。
球場アナウンスに呼ばれない名前だけが、ただただ悔しい。