追いかけろ、青。
『俺も一瞬、まじでって思った。でもやっぱ……2番は貰えなかったわ』
『……番号なんか、関係ないよ。レギュラーが託された。それは…みんなが友利を必要としてくれてることだと思うから』
『…おう』
キャッチャーも後輩に任せていると。
自分の出番はない可能性のほうが大きいが、最前線で応援やサポートに回ると。
できるかぎりのことをする。
そう言って、私の手を握った友利。
───そんな彼が、今、代打としてバッターボックスに立っている。
「打て友利ーーーーっ!!!」
「友利がんばって……っ!!」
視界が一瞬、揺らいだ。
もう今年の夏は諦めるしかないと、仕方がないと、言葉にしなくとも考えてしまうときがあった。
今年しか、ないのに。
それでもお父さんが大切にしていたように、ここまでやったきた思い出は本物になるはずだからって。
そうやって妥協して、私は綺麗にまとめようとしていた。
(3塁ランナーをホームにまで運べばいいの…、それだけでいいから、おねがい友利)
張りついた喉、
なんとかごくりと息を飲む。