追いかけろ、青。
「これ、彗に見せたいモン」
「……?」
背中に隠し持っていたらしい、1枚。
明後日の決勝戦用に渡されたゼッケンなのだろう。
何番だとしても、いいよ。
番号じゃない。
20を背負った代打が、準決勝の切り札となったのだから。
「───…2番…、」
「奪還成功」
ニッと、彼は爽やかに笑った。
きらりと光る汗すら、まぶしい。
右隣に0は付いていない。
ど真ん中、ただひとつの数字───2、と。
やっぱり、うれしいね。
20もいいけど、どちらが似合うかって言われたら即決で2だ、この男は。
「スタメンで打順は5番、ポジションはキャッチャー」
戻ってきた。
やっとマウンドに戻ってきた。
もちろんそれは友利ひとりの努力だけじゃない。
ここまでカバーしたチームメイトたち、友利の家族、病院の先生、放課後の小学生たち、久賀くん。
みんなの力が合わさって挑む、決勝だ。