追いかけろ、青。
夢はひとつ、叶いそうにない。
ほんの数日前のことだった。
伯母さんが風邪を引いて寝込んでしまった日があって、家のことは私がなんとかやった。
翌日には体調は戻ったみたいだったのだけど、なぜか鬼のような形相で私に詰め寄ってきて。
『ちょっと彗ちゃん、新聞は?』
『え…?』
『昨日の新聞よ!』
『あ、それならもう…捨てたよ。今日の新聞ならそこに───』
『なに馬鹿なことしてくれてるのよ…!!』
毎朝届けられる朝刊をポストから取り出すことから伯母の朝は始まること、もちろん私は知っていた。
けれど風邪で寝込んだ日のぶんは次の日には意味ないと思って、私は捨ててしまったのだ。
とくに何か重要なお知らせも無かったみたいだったから、いつも伯母がしているように、きちんとビニール紐で縛って。
私からすれば親切を含めた些細な自己判断がどうにも、伯母にとって血をのぼらせるほどの出来事だったらしく。