追いかけろ、青。
ちがう、そうじゃない。
都会に染まってしまうんじゃないかって不安と、この緑いっぱいな場所で自由に笑っていて欲しいだけ。
「興味は、あんだよ俺も。もちろん地元好きだし、一生暮らすならこっちのがいい。ただ……どうなるか分かんねーのが未来だろ」
こうやってどんどん大人になっていくんだろう。
私も同じ道があると思っていた。
自動改札に、満員電車に、ビルが隠す空に、そこで大学生をするつもりだった。
まさか友利からこんな話題が出るとは思わず、ちょっとだけ……さみしい。
「俺、まだ進学も就職も正直考えてない。でも俺ん家はとくに農家とかでもねーからさ。どっちにしたとしても……家からは出ると思う」
「……そう、なんだ」
できれば友利は、野球だけを考えている人であって欲しかった。
でも、そうだ。
一応は高校3年生なんだから、進路は誰だとしても付き物。
今は甲子園ってだけで、過ぎ去れば次の目標に変わってくる。
友利の前にはたくさんの選択肢があって、明るい道があって、きらびやかな未来で溢れている。