追いかけろ、青。
「彗は?どこ行く?」
「…どこ、って」
「横浜?東京?それとも名古屋とか?」
食いぎみに聞いてくる。
たったいま無理かもしれないって言ったばかりなのに、どうしてそんなこと。
「奨学金、受けるべきだと思う。貰えるものは貰うべきだと思うし、使えるものは使うべきだ」
「…だからそうしたとしても、」
「俺も一緒に考える。彗の親戚に頭下げたっていいくらいの気持ちだから俺」
どうしてあんたが。
どうして、そこまで。
「それくらいなんだよ。俺がここまで甲子園に近づけた確率って。だから…、その理由でお前の夢を諦めんのは、単純に俺が悔しい」
私が自ら妥協して、諦めて切った糸を。
拾い集めては結び直して、また新しいものに変えてくれる。
私にとって友利 洸大は、そーいう人だった。
「例えばの話だぞ。たとえば……どっちにしろ一人暮らしとか寮になるんだったらさ。
2人のほうがなんとかやれるってこと…あると思うんだよな俺」
「…………」
「片方が就職して、片方が大学。じゃなくとも両方進学、もしかすると両方就職ってのも……2人だったら、やれんじゃねーのって」