追いかけろ、青。
「順序おわってんのは重々承知。正直いまの俺は今世紀最大にテンパってる」
この状況で何を追加させてくるんだろうと、私は構えた。
ただ、もう、全身の力がまったく入らない状態。
「前の学校とかでさ…、付き合ってた奴とか、いた?」
そーいうことを言うヤツじゃない。
私にとって友利 洸大は、恋愛よりもまずは野球。
って、思いたかったのだけど。
後輩と付き合ってただとか、クリスマスに別れただとか。
イメージをことごとく、ズドンズドンと壊してくるバカやろう。
「……いた、よ」
いいでしょ、ちょっとくらい。
あんたを困らせてみたって。
こんなのバレバレな嘘だと分かっているから、私自身も期待なんかしてない。
「どんなやつ?」
「……アイドル、みたいな雰囲気で」
「あー、ひよってる感じか」
「身長も…170あって、」
「ごめん。俺180」
「…あたま、良い、かな」
「……キャッチャーってかなり頭使うんだよな」
適当なことを並べて逃げる私。
を、しつこくも真剣に追いかけてくる友利。